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女医ヨガインストラクターSEIKOのヨガブログ :coordination (コーディネーション)
毎週土曜日13時から コミュニティークラスでトリートメントヨガを担当している
女医 兼 ヨガインストラクターのSEIKOです!
今日は、coordination コーディネーション☆について医師目線からお伝えします。
先日は、初めてのヘッドスタンドに挑戦!の特別クラスに参加してきました。伝統的な逆転のポーズの一つ、シルシャーサナは最終形において頭と両腕のみで全体重を支えます。たくさんの効果が言われていますが、一方で怪我のリスクも高く特に安全な練習が望まれます。AKI先生の安全なガイドの元で、自分の体や感情に注意深く気づき・コントロール、そしてチャレンジ・乗り越えていくようなプロセスは、とても冷静で熱意のある、そしてオトナっぽいものでした。集中してあっという間の90分、楽しかったです!
終わってからは全身に筋肉痛が出現したのですが、特定の筋肉を刺激したというよりも、全身そして脳も使って(まさに全身全霊)ポーズに向かっていた、という感覚でした。
さて、
子ども向け体操教室で流行っているらしい・・・。コーディネーショントレーニングという言葉をご存じでしょうか。
運動能力の向上、ということから注目されています。
その目的は、筋肉を鍛えることではなく、神経に刺激を与えて自分の体を思い通りに自由に動かす力を養うことにあります。
そして神経の発達が盛んな子供だけが対象ではなく、どの世代にとっても生活の質を上げてくれる積極的に取り入れたいトレーニングとして紹介されています。
効果はわかりやすい例を挙げると、怪我の予防になります。これは、筋肉のバランス・連動性が整い、しなやかな動きができたり、突然の状況の変化に対応しやすくなるためです。
コーディネーショントレーニングとは行動を調整する能力を高めていくこと、です。
この調整とは五感等、感覚で捉えた情報を頭で判断し、筋肉を動かすことで利用していく、までの一連の動きの中でスムースに行なわれます。状況によって力や動きの加減を調整することは、スポーツだけでなく日常生活に欠かせないプロセスですよね。
この能力を高めるには神経と筋の連動を促すこと、また自分の感覚を鍛えるということが鍵になります。
(スポーツ運動科学者により考案され、医療の分野と少し異なるためここまではWeb検索から得た知識を基に書いています。)
それぞれ、見ていきましょう。
神経と筋の連動を促すこと
医師目線からいうと、coordinationと言う言葉で連想するのは小脳の機能の一つである協調運動です。
なめらかな連続した動きは特定の筋肉だけではなく、異なる筋同士の協調性(それぞれの収縮する順番や強さ、タイミングなど複雑な調整があります。)が欠かせません。
また小脳の働きは、一言で言うと運動のコントロール。そのおかげで私たちは日常生活に必要な精密な動作が可能となり、姿勢のバランスが得られ、新しいスキルを学ぶことができるようになっています。
つまり、脳・神経系との連携が私たちの運動・動作にどれだけ欠かせないものなのか、ということです。
実は伝統的なアーサナ(ポーズ)がいわゆるエクササイズ(運動)との異なる点は、これが脳・神経系に働きかけるということです。
実際の練習では、
- 立木のポーズや椰子の木のポーズ等のバランスポーズは神経と筋の連動に良いです。
- 手と足で別の動きを連動させて体幹を上下に伸ばしたり体を縮めたり広げたり、顔と手で異なる動きを連動させる等、神経系の連動に良いポーズが多くあります。
- 背骨に働きかけ、神経系に良いポーズも多くあります。
- 力みすぎず、楽しんで(創造的に)リラックスして行うことが大切です。
- 全ての動きは段階を踏んでゆっくり滑らかに行います。そして自分の呼吸・感覚・感情の変化に意識を向けることで、(神経と筋だけでなく)、体と心の連動(大脳に働きかけます)にも意識を向けています。感覚も研ぎ澄まされます。
自分の感覚を鍛える
普段私たちは主に視覚に頼って情報を得る傾向がありますが、視覚とは異なる、今の自分の体の状態を感じる力を養うことが、コーディネーション能力を高めます。
この点でも伝統的なヨーガの知恵が発揮されます☆
- アーサナ(ポーズ)の練習では基本的には目を閉じて(視覚に頼らずに)行います。
- 呼吸の変化を頼りにゆっくり丁寧に動いていきますが、その間はずっと自分の体の感覚に意識を向けています。
- 最終的に自分に快適な範囲を探りながらポーズに留まりますが、全ての一連の動き、そしてこの試行錯誤している過程もずっと自分の体の感覚を鍛えていることになります。
このように考えると神経系に働きかけたりcoordination・神経と筋の連動を促すようなアーサナ(ポーズ)は、伝統的な知恵であると同時に、私たちにとてもアタラシイ視点を与えてくれるトレーニング、とも言えるのではないでしょうか。☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ヨーガは経験の科学です☆
29日土曜日のクラスではcoordinationを意識したポーズを盛り込みますので、実際に経験してみましょう。シンプルな動きの中で、何か冴えるような感覚だったり、リラックスしたり、また違う感じがあるかもしれません。
トリートメントヨガにてお待ちしていますね。
SEIKO