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生理現象〜繊細な身体〜
毎週土曜日13時からクラシカルヨーガを担当している
女医 兼 ヨガインストラクターのSEIKOです!
今日は、生理現象〜繊細な身体〜について医師目線からお伝えします。
生理現象というと何だかムズカシイ印象があるかもしれません。
それはつまり、呼吸や消化、循環、排泄、体温の調節、睡眠など、私たちにとても身近なもので、生きていく上で欠かせない働きのことです。そして、身体の機能が正常に働いている証拠、となります。
別のことですが
環境や状況(ストレスや感情、動きなど)によって、人体の機能や働きに変化がおきます。これを生理学的反応と言います。
例えば・・・身体が言うことを聞いてくれない、と思う時はありませんか?
- 人前で話す時、緊張して呼吸が浅くなったり早口になる。ドキドキしたり。声が出にくい。
- とっても大事な場面で、トイレが近くなったり。眠くて仕方なくなったり。
- 何か困った場面で、冷や汗が止まらなくなる。
- ショックや恐怖があり、身体が動かない。
こういう時は、通常モードに戻れ〜と焦っても変わりません。コントロールしようとするほど、かえってひどくなったり落ち着かなくなったり、そんな経験はないでしょうか?
大事なことは、(コントロールしようとしたり、良い悪いを評価するよりも)一旦その状態をまるごと受け入れることだったりします。
(MEMO)
西洋の哲学では、「感じること」よりも「考えること」により大きな価値を置く傾向にあり、結果として身体から発される感覚(自律神経が関わっています。)よりも、理性の働き(大脳皮質による)を重要とする文化・背景があります。
西洋医学的には薬や器械を使ったりして、理性の力で、(つまり意図的に)身体の感覚や感情をコントロールするというアプローチもあります。(自閉症に対する認知行動療法など)
では、意図的に体の感覚や感情をコントロールすることは、実際に成功しているのでしょうか?
私たちは、意外と頭でっかちになっているのかもしれません。
理性の力で完全に身体をコントロールできるように思い込んだり、逆に思い通りにいかないと苦しむことさえあります。
しかし、生理学的反応は私たちが意識的にコントロールできる範囲にはありません。
身体の反応自体は、適切に正しいものとして(悪いものではないということ)尊重されるもので、生理学的反応を良い悪いの評価なく観察することは、自律神経(特に副交感神経)の活性化に繋がります。
ヨーガでポーズを取る時は主に副交感神経優位の状態ですが、実際の練習では呼吸の変化を含めた身体の反応(生理学的反応とも言えます。)や感情に気付いていき、そこに評価はしません。
話は戻ります。
そして、生理現象さえコントロールしようとする、私たちにはそんな傾向もあります。
- (目の前のたくさんの事に意識が向いて、)トイレに行くのを忘れる。我慢をする習慣がある。これは、実際に膀胱炎になったケースです。
- 生理がなるべく大事な予定と当たらないように意識を向ける。薬でコントロールするということもあります。重ならないことが前提で、もし生理が予定に重なる状況になれば自分を責めたり、(自分に)怒る。
- 理想的な健康のイメージと今の自分とのギャップに落ち込み、日々の行動を責める。(例えば摂食障害で、体重を増やしたり食べることに恐怖や罪悪感を持つ。)
2番目の、生理が大事な場面で重なる話ですが、個人的にこんな経験がありました。
呼吸法の練習では、生理中はできない実践が多くあります。インドでの2週間の呼吸法のコースに申し込み、それまで覚悟も準備もしてきてやっと出発するという時に、それは予想外のタイミングでやってきました。私はとてもがっかりしましたし、自分を責めました。
インド・カイヴァリヤダーマ研究所でコースが始まった日のことは、とても印象に残っています。開始後30分ほどで、参加できない実践が指示されました。困った顔で1人動きを止めているとマスターであるO.P.Tiwari先生が察して、私にシャバーサナをとるよう指示して下さいました。怒られる心配どころか、そのつぶらな瞳はとても優しく、私がシャバーサナを取るまでじっと心配そうに(まるで孫をみているように)見守って下さっていました。
私はその愛のある優しさに触れて、ああ、これがヨーガなんだな、とすごく驚きました。
それと同時に普段の自分への態度について考えさせられ、心は揺れていました。
自分に寄り添う。無理をしない。
身体のサインを尊重する。
いつもの伝統ヨーガの練習そのものです。
因みに、ヨーガの練習中でもトイレ等、生理現象は我慢しないのが基本的な考えなのだそうです。
ヨーガの知恵は、私たちの何気ない日常の中に、何かハッとする気づきをもたらしてくれるかもしれません。
クラスでは身体を使って、自分に優しく寄り添っていきます。身体の反応にジャッジはせず、ただ受け取ります。どんな経験があるでしょうか。
6月のテーマはバランスです。
いつもありがとうございます!
土曜午後のクラシカルヨーガでお待ちしています。
SEIKO