Blog

【読むヨガ】立秋 次候 寒蝉鳴(かんせんなく)

2026年8月13日〜8月17日

立秋を迎え、暦の上では秋。

その二番目の七十二候が、寒蝉鳴(かんせんなく)です。

「寒蝉」とは、秋の訪れを告げる蝉のこと。日本では、ヒグラシなどを指すとされています。

「カナカナカナ……」

夕暮れどき、どこか涼しげに響くその声。

日中にはまだ厳しい暑さが残っていますが、夕方になると日が少しずつ短くなり、風の中にもわずかな変化を感じるようになります。

夏の真ん中にいるようでいて、自然はすでに次の季節へ。

寒蝉の声は、過ぎていく夏を知らせる音なのかもしれません。

同じ一日は、二度とない

蝉の声を聞くと、「今年も夏が来た」と感じます。けれど、その声を聞ける時間は決して長くありません。

季節は巡りますが、今年の夏と来年の夏は同じではない。

今日という一日も、今この瞬間も、一度きりです。

私たちは日々の忙しさの中で、

「また今度」
「時間ができたら」
「いつか」

と、今を通り過ぎてしまうことがあります。

寒蝉鳴の短い季節は、今ここにある時間に気づくことを思い出させてくれます。

ヨガと「今ここ」

ヨガでは、身体を動かしながら、今起きていることに意識を向けます。

呼吸が入ってくる。

呼吸が出ていく。

身体が伸びる。

足裏が床に触れている。

どれも特別なことではありません。

けれど、意識を向けてみると、普段どれだけ「今」ではなく、過去や未来のことを考えているかに気づきます。

ヨガの時間は、柔軟になったり、ポーズを美しくとるためではなく、今この瞬間へ意識を戻していく練習でもあります。

移ろうからこそ、美しい

ヒグラシの声にどこか切なさを感じるのは、その音が夏の終わりを思わせるからかもしれません。

ずっと続くものなら、これほど心に残らないのかもしれない。

花が散ること。

日が沈むこと。

季節が変わること。

自然の美しさは、変わり続けることの中にあります。

私たちの身体も心も、毎日同じではありません。変化を止めようとするのではなく、今の状態をそのまま観察してみる。それもヨガの大切な実践です。

スタジオからのひとこと

8月13日〜17日。

夕暮れに寒蝉の声が響くこの季節。

少しだけ立ち止まり、今ここにあるものに耳を澄ませてみてください。

蝉の声。

夕方の風。

自分の呼吸。

身体の感覚。

何気なく過ぎていく一日の中にも、その瞬間にしか出会えないものがあります。

夏が静かに秋へと移っていくように、私たちもまた、変化の中を生きています。だからこそ、先を急ぐのではなく、今という時間を丁寧に味わう。

どうぞこの時期は、「今、この瞬間を感じるヨガを」

豆知識 寒蝉鳴(かんせんなく)

「寒蝉鳴」の「寒蝉」は、「寒い季節に鳴く蝉」という意味ではありません。

古い暦に登場する「寒蝉」が具体的にどの蝉を指すのかには諸説ありますが、日本の七十二候では、一般にヒグラシが鳴き始める頃として紹介されています。

ヒグラシといえば「カナカナ」という特徴的な鳴き声。

真夏の日中というより、朝夕の比較的涼しい時間帯によく鳴くため、その声に秋の気配を感じてきたのでしょう。

また、七十二候の約5日間は「この期間だけヒグラシが鳴く」という意味ではありません。

自然の小さな変化を目印に、一年を細やかに感じ取るための暦です。

前候の「涼風至」で風に秋の兆しを感じ、続く「寒蝉鳴」では音に秋を感じる。

目で見るだけではなく、肌や耳でも季節を感じる。

そんな昔の人々の繊細な自然観も、七十二候の魅力のひとつです。

» ホームへ戻る