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【読むヨガ】寒露 次候 菊花開(きくのはなひらく)

2026年10月13日〜17日頃、七十二候は、菊花開(きくのはなひらく)を迎えます。

秋が深まり、菊の花が咲き始める頃です。

春の桜が、暖かな季節の始まりを知らせる花だとすれば、菊は、空気が冷たくなっていく中で静かに花を開く、秋を代表する花のひとつ。

華やかでありながら、どこか落ち着いた佇まいがあります。

春から夏にかけて成長し、日が短くなってきた頃に花を咲かせる菊。

急いで咲くのではなく、自分に合った時を迎えて、花を開く。

菊花開は、そんな自然の時間について考えさせてくれる季節です。

人には、それぞれの時間がある

私たちは、つい誰かと自分を比べてしまいます。

あの人はもうできている。

あの人は自分より先に進んでいる。

自分ももっと早くできるようにならなければ。

けれど、自然の中では、すべての花が同じ季節に咲くわけではありません。

桜には桜の季節があり、蓮には蓮の季節があり、菊には菊の季節があります。

菊が春に咲いていないからといって、遅れているわけではありません。

まだ、その時ではないだけです。

私たちも同じなのかもしれません。

ヨガは、競争ではない

ヨガのクラスでも、周りの人が目に入ることがあります。

身体が柔らかい人。

難しいポーズができる人。

長くヨガを続けている人。

その姿を見ていると、知らないうちに自分と比べてしまうことがあります。

けれど、身体のつくりも、経験も、その日の体調も一人ひとり違います。

同じポーズをしていても、同じである必要はありません。

ヨガで大切なのは、「どこまでできたか」ではなく、今の自分の身体では、何が起きているのか。

そこに意識を戻すことです。

無理に花を開かせない

蕾を手で開けば、早く花の形にすることはできるかもしれません。

けれど、それは自然に咲いた花とは違います。

身体も同じです。

柔らかくなろうとして、必要以上に身体を押す。

完成形に近づこうとして、痛みを我慢する。

「できるようになりたい」という気持ちが強くなるほど、今の身体が置き去りになってしまうことがあります。

ヨガは、身体を無理に変えるためのものではありません。

呼吸をしながら身体を動かし、少しずつ自分の状態を知っていく。

その積み重ねの中で、身体が変わることもあります。変化を起こそうと急ぐのではなく、変化できる環境を整えていく。

花が自然に開くのを待つように。身体にも、その人なりの時間があります。

「まだ」を否定しない

何かができないとき、「できない」と考えると、そこで終わってしまいます。

けれど、「まだ、その時ではない」と考えると、少し見え方が変わります。

今日できなかったことが、いつかできるかもしれない。

あるいは、できるようになる必要そのものがないのかもしれない。

大切なのは、結果を急いで決めないことです。

菊は、春に桜を見ても焦りません。

夏に蓮が咲いていても、自分の花を急いで開くことはありません。

季節が巡り、自分に合った時が来たら花を開く。自然には、そんな時間があります。私たちも、自分の変化をもう少し長い目で見てもいいのではないでしょうか。

咲くことだけが、成長ではない

花が咲く瞬間は目立ちます。

けれど、その前には長い時間があります。

根を張る。

茎を伸ばす。

葉を広げる。

蕾をつける。

外から見れば何も起きていないような時期にも、植物は育っています。

人の成長も同じです。

目に見える結果が出ていないときにも、経験したことや学んだことが、少しずつ自分の中に積み重なっています。

ヨガでも、難しいポーズができることだけが成長ではありません。

以前より呼吸を感じられる。

無理をしていることに気づける。

疲れている日は休める。

自分と誰かを比べることが少なくなる。

そうした変化もまた、日々の実践から生まれたものです。

スタジオからのひとこと

10月13日〜17日。

秋の空気の中で、菊の花が開く頃。

この時期は、自分の変化を急がずに見てみてください。

まだできないこと。

まだ分からないこと。

まだ形になっていないこと。

それらを、すぐに「足りない」と判断しなくてもいい。

今は根を張っている途中かもしれない。

蕾を育てている途中かもしれない。

大切なのは、誰かの時間ではなく、自分の時間を生きること。

ヨガでも周りと比べるのではなく、今日の身体、今日の呼吸と向き合ってみる。

どうぞこの時期は、「自分の時間を大切にするヨガを」

豆知識|菊花開(きくのはなひらく)

菊は古くから日本文化と深く関わってきた花ですが、もともとは日本固有の植物ではなく、中国から薬用植物などとして伝わったと考えられています。

中国では古くから、菊は長寿や不老を象徴する花として親しまれてきました。その文化は日本にも伝わり、旧暦9月9日の重陽の節句(菊の節句)では、菊を眺めたり、菊を用いた酒を楽しんだりして長寿を願う風習が生まれました。

また、菊の開花には日照時間の変化が深く関係しています。

秋に咲く代表的な菊の多くは、夜の時間が一定以上長くなることをきっかけに花芽をつくる「短日植物」として知られています。

つまり菊は、気温だけではなく、日が短くなってきたことを感じながら花を咲かせているのです。

人がカレンダーを見て秋を知るよりずっと前から、植物は光の変化を受け取り、自分の季節を生きています。

菊花開は、そんな自然それぞれの「時間」に目を向ける候でもあります。

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