Blog

【読むヨガ】立冬 初候 山茶始開(つばきはじめてひらく)

2026年11月7日〜11日頃、七十二候は、山茶始開(つばきはじめてひらく)を迎えます。

二十四節気では「立冬」暦の上では、冬の始まりです。

「山茶」は、一般に山茶花(サザンカ)を指すとされています。春から夏にかけて多くの花が咲き、秋には木々が色づき、やがて葉を落としていく。そんな季節の中で、山茶花は寒さが近づく頃に花を開き始めます。周囲の景色が少しずつ静かになっていく中で、白や淡い桃色の花が咲く。

春の花のような華やかな季節ではなく、冷たい空気の中で静かに咲く山茶花。

山茶始開は、周りの環境が変わっても、自分のあり方を見失わないことについて考えさせてくれる季節です。

周りに合わせすぎていないだろうか

私たちは日々、周りの環境からさまざまな影響を受けています。

誰かが頑張っていると、自分も頑張らなければと思う。周囲が忙しそうにしていると、自分だけ休んでいてはいけない気がする。誰かが新しいことを始めると、自分も何かを始めたくなる。もちろん、周りから刺激を受けることは悪いことではありません。

けれど、いつの間にか自分の行動の基準が、周りの人になっていることはないでしょうか。

本当は休みたいのに、周りが動いているから休めない。

自分には必要のないことでも、誰かがしているから取り入れる。

そうしているうちに、自分が何を必要としているのか分からなくなることがあります。山茶花は、多くの花が咲く春ではなく、秋から冬にかけて花を開きます。それぞれの植物には、それぞれに適した生育や開花の条件があります。周りと同じである必要はない。自然の姿は、そんなことを思い出させてくれます。

ヨガは、自分の基準を取り戻す時間

ヨガのクラスでは、同じ空間で、同じポーズを練習します。

けれど、身体のつくりも、柔軟性も、筋力も、その日の体調も、一人ひとり違います。

隣の人が深く前屈していても、自分も同じところまで曲げる必要はありません。

周りの人がポーズを続けていても、自分には休むことが必要かもしれません。

大切なのは、周りと同じ形になることではなく、今の自分の身体に合った練習をすること。

ヨガの古典『ヨーガ・スートラ』には、アーサナについて、「安定していて、快適であること」という教えがあります。

難しい形を完成させることよりも、無理なく安定していられる状態を見つけていく。そのためには、外側の形だけではなく、自分の内側で起きていることを感じる必要があります。

呼吸が苦しくなっていないか。

必要以上に力が入っていないか。

今の身体に無理をさせていないか。

自分の感覚を基準にすることは、ヨガの大切な実践のひとつです。

静かな季節にも、花は咲く

冬が近づくと、自然の景色は少しずつ落ち着いていきます。

葉を落とす木々が増え、虫の声も少なくなり、日が暮れる時間も早くなります。

私たちは、活発に動いていることや、目に見える成果があることを、つい良い状態だと考えがちです。

けれど、自然は一年中、同じように活動しているわけではありません。

春には春の営みがあり、冬には冬の営みがあります。

山茶花は、周囲が静かになる季節に花を咲かせます。

静かな季節だからこそ、その花の存在がいっそう際立つこともあります。

私たちの生活にも、活発に動く時間と、静かに過ごす時間があります。

新しいことに挑戦する時期もあれば、これまで経験したことを振り返る時期もある。

どちらか一方だけが大切なのではありません。

静かに過ごす時間にも、その時間にしか得られないものがあります。

自分らしさは、何かを加えることではない

「自分らしく生きる」という言葉を聞くと、何か特別なことをしなければならないように感じるかもしれません。

自分だけの個性を見つける。

人とは違うことをする。

自分の強みをつくる。

けれど、自分らしさは、必ずしも新しく何かを加えることで生まれるものではないのかもしれません。

周りに合わせようとして入っていた力を抜く。

誰かと比べることをやめてみる。

自分が本当に心地よいと感じることに目を向ける。

そうすることで、もともと自分の中にあった感覚が見えてくることがあります。

ヨガでも同じです。

正しい形になろうと頑張りすぎているときより、余計な力を抜いたときの方が、自然な呼吸や身体の動きに気づけることがあります。

何か別の自分になろうとするのではなく、今の自分を知っていく。

自分らしさとは、つくり上げるものではなく、気づいていくものなのかもしれません。

スタジオからのひとこと

11月7日〜11日。

立冬を迎え、暦の上では冬が始まります。

秋の彩りが少しずつ落ち着いていく中で、山茶花が花を開く頃です。

この時期は、自分が何を基準に行動しているのか、少し振り返ってみてください。

誰かがしているから、自分もしていること。

本当は必要ないのに、続けていること。

周りに合わせるために、無理をしていること。

そんなことに気づいたら、一度自分の感覚に戻ってみる。

ヨガでも、周りの人や理想のポーズではなく、今日の自分の身体と呼吸を大切にしてみてください。

山茶花が自分に適した季節に花を開くように、私たちにもそれぞれの時間やあり方があります。

どうぞこの時期は、「周りと比べず、自分の感覚を大切にするヨガを」

豆知識|山茶始開(つばきはじめてひらく)

「山茶始開」は、山茶花(サザンカ)が咲き始める頃を表した七十二候です。

名前の読みには「つばき」が使われていますが、一般にはツバキではなく、サザンカを指すと解釈されています。

サザンカとツバキは、どちらもツバキ科ツバキ属の植物で、見た目もよく似ています。

ただし、花の咲く時期や散り方などに違いがあります。

サザンカは、一般に秋から冬にかけて花を咲かせ、花びらが一枚ずつ散ることが多い植物です。

一方、ツバキは冬から春にかけて咲く種類が多く、花がまとまって落ちることがよく知られています。

ただし、品種や環境によって開花時期や特徴には違いがあります。

また、サザンカは日本原産の植物で、古くから庭木や生け垣として親しまれてきました。

多くの花が少なくなる季節に咲くため、晩秋から冬の庭に彩りを添えてくれます。

ちなみに、山茶花という漢字は、もともと中国でツバキ類を指す「山茶」という言葉に由来するとされています。

そのため、漢字の意味と日本での植物の呼び名には、少し複雑な歴史があります。

前の候「楓蔦黄」では、楓や蔦が色づく姿を見ました。

そして「山茶始開」では、秋の終わりから冬の始まりにかけて、新しく花が開きます。

葉を落とす植物があれば、花を開く植物もある。

同じ季節の中でも、自然はそれぞれ異なる営みを続けています。

» ホームへ戻る